2023年05月31日
困難を抱えた子ども応援
こども未来局 こども健やか部 こども見守り支援課 主査 山田綾香さん
福岡市では、ふるさと納税の寄付の使い道として、36 種類(令和 5 年 5 月現在) の応援プロジェクトを用意しています。なかでも多くの関心が寄せられている「困難を抱えた子ども応援」は、さまざまな環境で育つ子どもの成長や、子ども・若者の自立と社会参加を支援するものです。いただいた寄付金は、“子ども食堂” やひきこもりなどの悩み相談、児童養護施設などで育つ子どもの支援などに活用しています。
今回は「困難を抱えた子ども応援」に携わる、こども未来局こども見守り支援課の山田綾香さんに話を聞きました。
――ふだんはどのような仕事をしていますか?
こども未来局は「すべての子どもが夢を描けるまちをめざして」という基本理念のもとに、子ども一人ひとりが自分らしく健やかに成長できるよう、子どもの個性や価値観を尊重しながら、子どもと家庭を支える取り組みを行っています。なかでも、私が所属するこども見守り支援課は、困難を抱える子どもの把握や支援、子どもの貧困対策の推進を担当しています。
具体的には、子どもたちへの食事の提供や居場所づくりを行う“子ども食堂”を運営する団体への補助金交付や、経済的に事情のあるご家庭への習い事費用の助成などを行っています。
子どもの貧困対策の分野は、平成 25(2013)~26(2014)年にかけて法律等が制定され、以降、社会的にも注目されるようになりました。福岡市でも、平成 28(2016)年度に「子どもの貧困対策に関する推進本部」を設置し、市を挙げて貧困対策の推進に取り組んでいます。近年は長引くコロナ禍や昨年からの物価高騰という厳しい社会情勢もあり、より一層貧困対策に注力する必要性を感じています。
――寄付金の使い道「困難を抱えた子ども応援」プロジェクトができた経緯を教えてください。
「困難を抱えた子ども応援」プロジェクトは平成 29(2017)年に創設されました。
創設前から「困難を抱えた子どものために使って欲しい」という寄付のお申し出をたくさんいただいていたことから、新たな受け入れ先を設け、皆様の思いを着実に支援につなげていくこととしました。寄付額は年々増加しており、令和 3(2021)年度にいただいた寄付は延べ 1438 件、約 3600 万円にのぼります。36 種類ものプロジェクトのなかで 寄付額は4 番目に多く、たくさんの方が関心を寄せてくださっていることを感じています。
おかげさまで、様々な事業を充実させることができ、多様な支援ニーズに応えることが可能となりました。
――寄付金はどのように活用されているのでしょうか。
いただいた寄付金は、子ども食堂を運営する方への支援、児童養護施設や里親から巣立つ子どもの自立支援などに活用しています。また、寄付金の額が増えていることもあり、令和 3(2021)年度については、引きこもりや不登校、非行など困難を抱える若者支援にも活用させていただきました。
福岡市内で開かれる子ども食堂の多くは、民間の団体が自己資金をベースに運営しています。福岡市では平成 28 年度から支援を行っていて、当初は補助金の申請数が 14 団体だったところ、令和 4(2022)年度には 25 団体にまで増えました。また、令和 4 年度から 5(2023)年度にかけて、補助金の内容を拡充しており、申請 5 年目以降はかかった費用の 1/3 だった補助率を 2/3 に引き上げたり、補助金を交付する年数の制限も当面なくすなどしています。こういった拡充により、申請団体がもっと増えるでしょうし、福岡市内の子ども食堂も増えていくのではないかと思っています。
――支援している子ども食堂はどんな様子ですか。
公民館などで地域のボランティアの方々が定期的に実施されていることが多く、提供される食事は無償もしくは 100 円、200 円など安価で、多くの子どもに開かれた場となっています。
私たちも子ども食堂の見学に行くことがあり、その際に感じるのは、みんなで食事を楽しむことや学校や家庭以外の居場所があることの大切さです。なかには、経済状況にかかわらず、共働き家庭などで日常的に兄弟姉妹だけ、または一人だけで食事を取っている子どももいると思いますが、誰かと食卓を囲み、あたたかい手づくりの料理を食べるということは、とてもいい経験になります。
また、学校以外の友達ができたり、親や先生には言いづらいことを地域の人に話すことができたりするということもよく聞きます。「1年目はおとなしかったけれど、2年目からはよく話すようになったのよ」という運営の方の声を聴くと、多様な関係づくりの場としての子ども食堂の意義、そして継続することの大切さを強く感じます。
――これからの取り組みについて展望を教えてください。
福岡市に限ったことではありませんが、現在、子どもたちはさまざまな困難を抱えています。家庭の事情、経済的困窮、虐待、引きこもり、いじめ、不登校、非行など多岐にわたっており、いくつかの困難が複合的に表れてくるケースもあります。こういった状況に置かれている子どもたちの今そして将来が、生まれ育った環境だけに左右されないよう、より子どもや家庭に直接支援が届く仕組みを考え、しっかりと取り組んでいきたいと思います。
――寄付者の方にメッセージをお願いします。
たくさんの皆様から多くのご寄付をいただいており、本当に感謝しています。いただいた寄付金は皆様から託された思いに応えられるよう、責任をもって未来を担う子どもたちへの支援につなげてまいりますので、引き続き、変わらぬお力添えをよろしくお願いいたします。
お問い合わせ先 |
こども未来局こども見守り支援課 TEL:092-711-4762 E-mail:k-mimamori.CB@city.fukuoka.lg.jp |
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