福岡市音楽産業振興基金

福岡市 経済観光文化局 コンテンツ振興課 クリエイティブ係長 髙木慶崇さん

 福岡市では、ふるさと納税の寄付の使い道として、36種類(令和5年8月現在)の応援プロジェクトを用意しています。文化・芸術・スポーツ分野の応援プロジェクトのひとつ「福岡市音楽産業振興基金」は、ミュージシャンや作曲家など音楽関連の人材を数多く輩出している福岡市の特性を活かし、これからの音楽産業の振興につなげていくことを目的としています。

今回は「福岡市音楽産業振興基金」に携わる、経済観光文化局コンテンツ振興課の髙木慶崇さんに話を聞きました。

――ふだんはどのような仕事をしていますか。

 コンテンツ振興課では、福岡市が掲げる「クリエイティブ・エンターテインメント都市・ふくおか」の実現に向けて、ゲームや音楽、映像、ファッション、デザインという分野に力を入れ、クリエイティブ関連産業の振興に取り組んでいます。課内は4つの係に分かれていて、ゲームと音楽分野に関わる「クリエイティブ係」、ファッションやデザイン分野を担当する「エンターテインメント係」、映画やドラマ、CM撮影の誘致や支援を行う「フィルムコミッション係」、映像分野に関わる「デジタルコンテンツ係」のそれぞれが、福岡市におけるコンテンツビジネスの拡大支援に取り組んでいます。

 このようにユニークな課があるのは、福岡市の特色によるもので、全国的に見てもめずらしいのではないでしょうか。福岡出身の有名なミュージシャンが活躍していたり、市内にはゲーム開発の会社が集まっていたりという文化が根付く福岡を、産業的な面からもますます盛り上げていきたいと考えています。

――寄付金の使い道「福岡市音楽産業振興基金」プロジェクトについて教えてください。

 「福岡市音楽産業振興基金」は、平成17(2005)年に、「福岡市音楽産業振興基金条例」が制定されたことにより設立されました。これは、音楽関連の人材を輩出している福岡の特性を活かし、音楽の制作や流通を促進することによって音楽産業や経済の発展をはかるための条例です。産業振興を目的とした基金ですので、音楽をビジネスの面から支えることをめざしています。

――寄付金はどのように活用されているのでしょうか。

 いただいた寄付金は大きく分けて2つの事業に活用しています。

 まずは、「福岡ミュージックマンス」の取り組みです。毎年9月を「福岡ミュージックマンス」と位置づけ、福岡の各地で音楽イベントが繰り広げられる“音楽の街・福岡”を代表する一大音楽コンテンツです。今年も「Sunset Live」、「九州ゴスペルフェスティバル」、「中洲ジャズ」、「ベイサイドフェスティバル」の開催が決定し、準備が進んでいます。多くのイベントは街なかのオープンな広場や施設で行われ、観覧料も無料のものがほとんどです。誰でも気軽にさまざまなジャンルの音楽を楽しむことができるため、市内外から多くの観客が訪れています。

中洲ジャズ
ベイサイドフェスティバル

 また、福岡を日本・アジアを代表する音楽都市にすることをめざし、令和3(2021)年に設立された「福岡音楽都市協議会(MCCF)」の事業の一部にも寄付金を活用しています。この協議会は、音楽を関連産業や観光、まちづくりの観点から活用・振興を図るため、市内で音楽関連の活動などを行う事業者や個人をはじめとしたさまざまな人が交流や育成を行う場です。MCCFが手がけるキュレーションメディア「OTOJIRO(オトジロー)」では音楽関連のインタビューやコラムを読むことができるほか、福岡市内で活動する音楽関連の人材や会社、施設などを検索することもできるので、さまざまな方に有効利用していただきたいと思っています。

クリエイティブセミナー
キュレーションメディア「OTOJIRO(オトジロー)」

――ここ数年のコロナ禍において、福岡市の音楽業界の状況はいかがでしたか。

 多くの業種の方々がコロナ禍で大変な思いをされたと思いますが、音楽業界からも苦しい状況が伝わっていました。MCCFの設立に関しても、コロナ禍で落ち込んでいる音楽業界を再び盛り上げたいという多くの人の思いが発足のきっかけとなりました。また、定期的に行われていた音楽イベントは休止を余儀なくされ、ミュージシャンの方たちはライブ活動を行うこともはばかられる状況が続きました。

 今年からウィズコロナの状況になり、少しずつですが事態が好転していることを感じます。令和5(2023)年3月に行われたMCCF主催の「FUKUOKA MUSIC SUMMIT」のライブは通常通りの開催となり、観客も盛り上がりを見せていました。そのような状況を見て、出演した若手アーティストが感極まる一幕も。観客と出演者、どちらの心にも響く場面に接して、音楽の力を再認識したところです。

――これからの取り組みについて展望を教えてください。

 昨年は寄付金の総額も大きく増え、多くの方に関心を寄せていただいていることを感じているところです。まずは基金の目的でもある音楽産業の振興をめざすことで、ひいては音楽文化が守られ、音楽があちこちから聞こえてくる活気あるまちづくりにつなげたいと思っています。

――寄付者の方にメッセージをお願いします。

 さまざまなところにお住いの多くの方から寄付をいただき、感謝しています。応援してくださるお気持ちとともに、これからも音楽産業振興に役立てていきます。9月に行われる「福岡ミュージックマンス」ではいろいろなジャンルのライブが行われているので、ぜひ福岡市に足を運んで一緒に楽しんでいただければうれしいです。

 

お問い合わせ先

経済観光文化局コンテンツ振興課

TEL:092-711-4329

E-mail:contents.EPB@city.fukuoka.lg.jp

音楽産業振興基金(外部リンク)