――「ローカルフードサイクリング」について教えてください。

　「ローカルフードサイクリング株式会社」は、コンポストの開発や販売をはじめ、“半径2km以内での持続可能な栄養循環”を構築することをめざして2019年に設立した会社です。

　私がコンポスト活動を始めたのは今から27年前の1997年。きっかけは父が病気を患ったことでした。安全なものを食べて元気になってもらいたいと思って無農薬野菜を探してみたものの、当時の福岡市内で見つけることは困難で、あったとしても満足のいくものではありませんでした。

　そこで自分で畑を借りて野菜作りを始めたのですが、虫がついたり雑草が生い茂ったりしてなかなかうまくいきません。農薬や化学肥料を使わずに野菜を育てるために試行錯誤を繰り返した結果、たどり着いたのがコンポストだったのです。生ごみとして捨てられていた食べ物をコンポストに入れることで、ごみが減る、焼却しないので環境にやさしい、畑の堆肥になっておいしい野菜ができるなどいいことばかり。余命わずかと言われていた父も食生活を変えたことで一時は病気が消え、約2年間生きることができました。

　これを機に私自身も栄養学などを学び、これからの食生活や生活環境には土の再生が重要になることを確信しました。当時は、安全な野菜が手に入りにくい一方で、土の栄養になる生ごみは廃棄処分。家庭から出る栄養たっぷりの生ごみをコンポストに入れて微生物の力で堆肥に変え、その堆肥を使っておいしい野菜を作る、そしてまた生ごみをコンポストで分解…という小さな循環を日本各地で作れば、多くの人がおいしい野菜を毎日食べられるのではないかと考えたのです。

　2004年には仲間と一緒にNPO団体「循環生活研究所」を創設し、コンポスト普及のさまざまな取り組みを行ってきました。しかし、私が活動を初めて20年が経った頃でもまだ9割の生ごみが捨てられている現状を見て、コンポストのさらなる普及を目標に2019年に「ローカルフードサイクリング株式会社」を立ち上げました。

――「ローカルフードサイクリング」のふるさと納税返礼品について教えてください。

　トートバッグ型コンポスト、専用基材、説明書が入った「LFCコンポストセット」が一番人気の返礼品です。20年以上の経験をもとに開発した専用基材は、植物繊維や炭など自然素材を組み合わせたもので、微生物が住みやすい環境に整えています。生ごみを入れても臭いが出にくく、虫も付きにくいのでベランダに置いて気軽に管理できます。あとは生ごみを入れて1日1分かき混ぜるだけ。2～3ヶ月後には栄養たっぷりの堆肥ができあがります。

　ごみ全体の35％を占めると言われる生ごみがなくなると、台所が匂わなくなる、虫が来なくなる、ごみ捨ての回数が減るなど家事の負担も軽減されます。環境問題など難しいことを考えなくても、興味がある方は最初の一歩としてぜひ初めてもらえたらうれしいです。サポートももちろん受けていただけます。

――福岡市でものづくりを行うことに、どのような想いをもっていますか。

　福岡市は私の出身地であり、「ローカルフードサイクリング」の事業を始めた場所です。「LFCコンポスト」のユーザーは東京をはじめ首都圏の方が増えていますが、福岡市近郊の方にももっと興味を持っていただけるよう取り組んでいきたいと思っています。また、2024年にはふるさと納税を活用した「令和6年度福岡市ソーシャルスタートアップ成長支援事業」の認定企業として選ばれるなど、福岡市と連携することで多くの方に知っていただき、実績を上げていきたいと思っています。

※「福岡市ソーシャルスタートアップ成長支援事業」では、「ローカルフードサイクリング株式会社」の「～半径2km圏での持続可能な栄養循環をつくる～」という、天神地区を中心とした生ごみの栄養循環拠点での人材育成を通して持続可能な運営体制を構築する事業が対象プロジェクトとして採択されています。

――寄付者の方にメッセージをお願いします。

　私たちは難しい社会問題、環境問題に楽しく取り組むことを目標としています。暮らしに身近な生ごみ問題も「LFCコンポスト」を使えば簡単に解決できます。サポートを通して伴走するので一緒にチャレンジしてみませんか？ 私たちの会社でも年間150種ほどの植物を育てていますが、「LFCコンポスト」の堆肥を使って育てた野菜は本当においしいのでぜひ味わってみて欲しいです。